カネカの還元型コエンザイムQ10 の特許|酸化しやすい成分を安定させる工夫

Supplement DB 編集部・公開 ・更新

コエンザイムQ10 には酸化型(ユビキノン)と還元型(ユビキノール)があり、還元型は空気中の酸素で酸化型に変わりやすい成分です。日本のカネカは還元型コエンザイムQ10 の原料メーカーで、このサイトのデータでは「Kaneka Ubiquinol」などカネカの名前をラベルに書いた商品が 52 商品あります(2026 年 10 月 16 日時点)。カネカが米国で取った 2 つの特許を表にまとめます。

1. 概要

7,169,590 は酸化を防ぐ製法と結晶にする方法を、7,829,080 は別の成分を加えて安定させる配合を守る特許です。

特許守るもの種別
米国特許 7,169,590還元型コエンザイムQ10 を、強い酸を含む溶媒の中で扱って酸化を防ぐ方法と、その溶媒から結晶にする方法製法特許
米国特許 7,829,080還元型コエンザイムQ10 に、還元型 Q9(還元型 Q10 に対して 1.5〜99 重量%)か還元型 Q11 を加えて安定させる方法と、その組成物製剤特許(配合特許)

2. 従来との比較

どちらの明細書も、還元型コエンザイムQ10 が空気中で酸化しやすいことを課題に挙げ、酸化型の割合が減ることを数値で示しています。

米国特許 7,169,590:明細書の実施例(結晶にするとき、塩酸を加えた場合と、代わりに水を加えた場合。空気中)
項目水を加えた場合塩酸を加えた場合
結晶の還元型 : 酸化型97.4 : 2.699.1 : 0.9
還元型コエンザイムQ10 の純度97.2%98.9%
収率95 mol%95 mol%
窒素の中で塩酸を加えた場合は 99.5 : 0.5(純度 99.3%)。従来は、空気中の酸素で酸化しやすく、純度の高い結晶を得にくかった(油状・半固体になりやすい)と明細書は述べています。
米国特許 7,829,080:明細書の実施例(還元型 Q9 を 1.5% 含むものと、含まないもの。空気中・25℃)
条件Q9 を含まないQ9 を 1.5% 含む
結晶で 24 時間:酸化した割合4.5%3.3%
エタノールに溶かして 6 時間:酸化した割合12.8%9.8%
還元型 : 酸化型の比(95.5 : 4.5 など)の、酸化型の割合。従来の安定化は、還元剤のアスコルビン酸類が酸化して有害な分解物ができ、方法も複雑だったと明細書は述べています。

3. 総括

2 件とも、サプリでとる還元型コエンザイムQ10 が酸化型に変わるのを抑える特許です。明細書の例では、結晶に混ざる酸化型が約 65% 減り(7,169,590)、空気中に 24 時間おいたときに酸化した割合が約 27% 減りました(7,829,080)。

特許何が変わるか(従来と比べて)
米国特許 7,169,590結晶にするときに水の代わりに塩酸を加えると、結晶に混ざる酸化型が約 65% 減る(2.6% → 0.9%)。還元型の純度は 97.2% → 98.9%
米国特許 7,829,080還元型コエンザイムQ9 を 1.5% 含むと、酸化した割合が減る(結晶で 24 時間:4.5% → 3.3%、約 27% 減。エタノールに溶かして 6 時間:12.8% → 9.8%、約 23% 減)
数値は明細書の例の値で、どちらも空気中での試験です(7,829,080 は 25℃)。

4. 特許の情報

7,169,590 は 2022 年に満了し、7,829,080 は存続中です(満了は 2027 年 4 月の見込み)。

特許出願登録状態権利者
米国特許 7,169,5902002/7/15(2001 年と 2002 年の日本での出願がもと)2007/1/302022/9/27 に満了Kaneka Corporation(カネカ)
米国特許 7,829,0802007/4/27(2006 年の日本での出願がもと)2010/11/9存続中(満了は 2027/4/27 の見込み)Kaneka Corporation(カネカ)
状態と満了日は 2026 年 10 月 16 日に Google Patents で確かめたものです。Google Patents の状態の表示は推定で、法的な結論ではありません。原題は一次情報の表の資料名にあります。

5. 一次情報

特許の中身は Google Patents の明細書で確かめました。